変形性膝関節症について

OA KNEE

変形性膝関節症の重症度(グレード)はどう決まるか

RELEASE:2018-10-01
UPDATE:
変形性膝関節症の治療を開始するにあたって、まず必要になるのが事前アセスメント。治療前の重症度(グレード)を正確に把握することが重要です。これによって、今後の治療方針を具体的に決定できますし、長期的な展望の見通しも立ちます。
では、変形性膝関節症において、重症度はどのようにして決定されるのでしょう。
ここでは、その代表的な指標(KLグレード分類)について解説するとともに、実際の臨床場面での運用の実態についてもご紹介します。
変形性膝関節症の重症度を判定するための基準には、北大分類や横浜市大分類などいくつか種類がありますが、いずれもレントゲン写真を活用します。その中で最も一般的な指標はKellgren-Laurence分類(以下KL分類)です。KL分類は主に関節軟骨の減少具合と骨棘(こっきょく)※の程度によって重症度を分類します。
もっと分かりやすく言うと、レントゲン写真から骨の状態を読み取るとともに、関節の隙間の大小を計り、それを元に重症度を分類するというものです。なぜ関節の隙間に着目するかというと、この隙間には軟骨があり、軟骨がすり減ることは、症状の悪化を意味するからです。
変形性膝関節症のグレード説明
なお、関節の隙間は、膝に体重が乗った状態で計測することが望まれますので、レントゲンは立った状態で撮影したほうが、より正確に評価することができます。
※骨棘(こっきょく)とは、関節面の軟骨が磨り減った結果、骨の接合面が肥大して硬くなり、棘(とげ)のようになった状態を指します。

レントゲン診断の限界

KL分類ではレントゲン写真から得られる情報をもとに重症度を分類しますが、それだけで病態の全貌が分かるわけではありません。例えば、レントゲン写真では、変形性膝関節症の症状に大きく影響する軟骨の状態を確認することができません。またこれまでに起こったことを示しているに過ぎず、この先どう進行するかを予測する材料にはなりえません。つまり、KL分類だけに基づいて治療方針を決定してしまっては、状況を見誤る危険性が高いのです。
実際、強い痛みのために夜間十分に寝られず、歩行も困難になっているような方でも、レントゲン写真によるKL分類のみで判断してしまうと「初期段階」と判定されてしまうことがあります。
こうしたリスクを回避するために、最近では多くの医療機関でMRI検査などを併用して、総合的に事前診断を行っています。MRI検査では、軟骨、半月板、靭帯といった組織の状態のみならず、骨髄浮腫の有無を確認できる点が大きなメリットです。これが認められると、変形性膝関節症の進行が早く、将来人工関節が必要となるリスクが高くなるとの報告もあります[1]。MRI検査を併用することで、今後の病状の進行具合を予測するための、重要な情報を得られるのです。
MRI検査で確認された骨髄浮腫

当クリニックの実例

イメージ:MRI
当クリニックは変形性膝関節症を専門に扱っており、治療法も再生医療をはじめとする自由診療に特化しています。
ただこうした治療は、実は今のところ、誰にでも等しく効果を発揮できるものではありません。膝の状態によっては、期待通りの成果が得られないこともあり得るのです。したがって実際に治療を行う前には、効果が見込めそうかどうかを予めきちんと評価しておく必要があり、そう言った意味で、重症度グレードの診断も重視しています。ただ先ほども触れた通り、KL分類には限界もあるので、それだけには頼りません。骨以外の組織の状態もチェックできるMRI検査等を組み合わせて、事前検査は入念に行っています。
「MRIって予約を取るのに待たされるんじゃない? 高いのでは?」と思われるかもしれませんが、その点はご安心ください。検査施設と提携しているので、優先的に予約をお取りすることができます。検査だけで1日使ってしまうというようなことはありません。

再生医療はどのタイミングで検討すべきか

ひざ関節症クリニックの診察風景
さて、当院が専門的に行っているのは脂肪由来幹細胞や血液を用いた医療ですが、こうした治療が効果を発揮しやすいのは、変形性膝関節症のKL分類に当てはめるとどのグレードだと思いますか? 
血液を用いる「PRP-FD」という治療では、関節内の軟骨や半月板などに損傷が認められる場合、適応ありです。
一方、脂肪由来幹細胞を用いる再生医療「培養幹細胞治療」の場合、KL分類でⅡ以上の方を対象としています。ただし、これはあくまで目安とお考えください。関節内の骨以外の状態も含めてトータルで評価させていただき、グレードⅡ以上であっても効果が見込めそうにない場合にはお断することがあります。
では、どういった基準で治療をお引き受けする・しないを判断しているかというと、申し訳ありませんがこれについては一律に示すことができません。その後の人生や生活にも影響しかねない大事な判断なので、実際にお膝の状態を確認した上で、個別に診断させていただいています
ただ一つ言えることは、関節内の損傷程度が軽く、骨の変形も軽度な場合の方が、より効果を発揮しやすいということです。もし気になるようでしたら、早めにご相談にお越しいただければと思います。その際は、可能であれば医療機関の紹介状をご持参ください。
当院の治療法も含めた”再生医療”については「変形性膝関節症の再生医療の効果と安全性」の記事も併せてご覧ください。

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