変形性膝関節症について

OA KNEE

変形性膝関節症の最新治療が、日々進歩しています

RELEASE:2018-10-11
UPDATE:

あらゆる最新技術が開発され、変形性膝関節症の治療法は変わりつつあります。手術ではない新たな治療法も登場し、選択肢はぐっと広がりました。それぞれの”最新”を解説します。

変形性膝関節症の手術で用いられる最新技術

変形性膝関節症の手術療法人工膝関節置換術には大幅な痛みの緩和が期待できる反面、大手術ということで不安を感じる患者さんは多いでしょう。膝や周辺の組織を切開するとなると、身体への侵襲は不可避。術後の痛みや入院期間、リハビリに対する不安も大きいのではないでしょうか。こうしたことを軽減するために開発されたのが、MIS法やナビゲーションシステムといった最新技術です。

最小侵襲手術「MIS法」

MIS法とはMinimally Invasive Surgeryの略語で、訳すと「最小侵襲手術」となります。通常の手術と違うのは、アプローチの方法。一般的な手法では筋肉を切開しメスを進入させていきますが、MIS法では筋間進入、つまり筋肉と筋肉の間を通るような方法を取ります。「筋肉をほとんど傷つけないため、筋回復度や入院期間において通常の手術方法と差がついた」という報告もありますが、術後の長期的な視点で見ると両者に大きな差はありません。

「最小皮切手術」でないことに注意

MISの「I」は本来、invasive(侵襲)を意味します。しかしこれをincision(皮切:皮膚を切開する長さ)と間違った解釈をする施設や業者が過去あったことも事実です。皮切を短くするということは、関節内を見づらくなるということ。それによって筋肉の解離やインプラント(人工関節)の設置が不正確となり、脱臼やゆるみにつながることもありました。

こうした歴史も踏まえ、MIS法が絶対的に推奨されるという風潮はありません。執刀者の得意とするアプローチによって、正確にインプラントを設置することこそが最重要事項なのです。

ナビゲーションシステム

手術技法「MIS」「ナビゲーションシステム」人工関節手術でまず大切なのは、正確な位置で骨を切ることです。ひとたび骨を切ったり削ったりすると後戻りはできないためです。次に正確なインプラントの設置。こうした課題を払拭するため開発されたのが、ナビゲーションシステムという最新技術です。

このシステムは、上記の問題について、高い精度と再現性をもって手術を進められるのが最大のメリット。手術が執刀者の技量に依存しにくくなるため、有用性は高いと言えるでしょう。人工関節を執刀する医師の中でも、このシステムの有用性に関する見解は一致しているのではないかと考えられます。

手術療法における最新技術の使用率

MIS法やナビゲーションシステムといった、手術における最新技術は、侵襲を少なく抑えることのできる有用なものであることに間違いはありません。しかし、こうした技術が手術の現場で使われるのは、それほど多くないというのが実情です。

人工関節学会の統計によると、人工膝関節置換術の実施におけるMIS法の使用率は、全置換術の初回手術で27.36%、ナビゲーションシステムについては10.30%に留まります[1]。これらの手法を使うか否かで回復の度合いに差は出ますが、短期的なもの。長期的に大きな違いがあるわけではありません。そのため、全ての手術において必ず用いる必要がある、というわけではないのだと考えられます。

「再生医療」も最新の治療法のひとつ

MIS法やナビゲーションシステムは、ある程度の安心には繋がるでしょう。しかし先述の通り、そのいずれも手術における使用率は低く、必須であるとも言えません。また、人工関節置換術が大手術であることも、紛れもない事実。受けるかどうかの決断は、決して容易ではないでしょう。そうした中で近年加わった、手術以外の新たな選択肢「再生医療」も検討の余地があるかもしれません。人工関節に代わるものとは言えないまでも、可能性に満ちた治療法です。

再生医療とは

変形性膝関節症の新しい治療「再生医療」「身体の持つ治癒力によって、欠損した組織や機能の修復を図ること」のように定義づけられています。自分の細胞や組織を利用するため、拒絶反応が起こりにくいのが特徴。大学や医療機関での研究段階という認識が強いですが、既に臨床でも保険診療外で提供されているのです。

保険診療外となると、安全性が心配だと感じる人は多いでしょう。しかし、その安全性はしっかりと確保されています。というのも、日本では世界に先駆けて再生医療の法律ができたため。それが2014年に施行された「再生医療等安全性確保法」という法律です。これにより、再生医療を提供するためには厚生労働省に提供計画を提出しなければならなくなりました。厳しい審査を経て提供計画が受理されると初めて、病院やクリニックは再生医療を臨床に用いることができるのです。

変形性膝関節症にも適応可能な治療法がある

変形性膝関節症に適応可能な再生医療現状、変形性膝関節症に対しては、血液や脂肪由来の再生医療が適応可能。PRP療法や脂肪幹細胞治療などが代表的で、自身の身体から採取した血液や脂肪を用いて行うものです。細胞や血液の中に含まれる組織は、膝関節の状態を整える働きを持っています。そうした組織の力を引き出すのが、再生医療。変形性膝関節症の痛みの原因である炎症に対して、当院では脂肪幹細胞による治療を提供しています。

長引く嫌な痛みから開放されることで、生活の質(QOL)を向上させるのが、再生医療の最大の目的。当院でも「手術を遅らせるのが目的」と説明をしています。というのも、再生医療と言えど、すり減った膝関節の軟骨が元通りに再生するという事実は、現在の医学では確認されていないためです。期間は明言できませんが、痛みから開放され手術を遅らせることで、一生を明るく過ごせる可能性はあります。そんな治療に、未来を感じずにはいられません。

ページの先頭へ戻る